2026年7月11日 / Root Lab

検索より先にAIが見つけた——SEOをしていないブランドサイトで起きたこと

外部リンク対策もコンテンツ量産もしていないブランドサイトで、AI(ChatGPT)経由の流入が、Google の自然検索の3倍以上に達していた。ユーザー数で 13 対 4、セッション数では 20 対 4。検索からの流入がほぼない段階で、AI に先に見つけられていた——その記録である。

新しく作ったサイトが人に見つけられる経路といえば、まず検索エンジンだと考えられてきた。上位に表示されるまで時間をかけて対策を積み上げ、そこから少しずつ人が入ってくる。順番としては、それが当たり前だった。しかし、AI の時代では、それが当たり前でなくなる動きが来ている。

何が起きたのか——ChatGPT経由がGoogle検索の3倍以上

2ヶ月ほど前に作ったきり、ほとんど放置していたサイト。久しぶりにアクセス解析を開くと、参照元の内訳が、思いのほか理想的だった。

Google の自然検索から来た人よりも、ChatGPT を起点に来た人のほうが多かった。

サイトを公開したのは 2026年5月。計測データは、公開から7月11日までの約2ヶ月分になる。GA4 の「ユーザーの最初の参照元」で見ると、ChatGPT 経由(参照元 chatgpt.com)が 13人、Google の自然検索が 4人。ユーザー数で3倍以上、セッション数では 20 対 4 と、5倍の開きがあった。

参照元 ユーザー数 セッション数
ChatGPT(chatgpt.com) 13 20
Google 自然検索 4 4

GA4「ユーザーの最初の参照元 / メディア」より。計測期間:2026年5月〜7月11日。

13人対4人という、小さな数字ではある。それでも、方向としては明確だった。

このサイトは、外部リンクを集める施策をまだ一切していない。被リンク対策もしていないし、コンテンツを量産してもいない。従来型の SEO という意味では、ほぼ無に近い状態。一方で、LLMO や AIO、GEO(生成エンジン最適化)と呼ばれるような AI 向けの視点は、サイトを作った当初から意識していた。といっても、AI が内容を理解し、引用しやすいように書いておく——そのくらいの基本的なことだけだ。

そんな中で、検索からの流入がほぼない段階から、AI のほうは先に、この内容を「参照できる答え」として扱い始めていた。

人に見つけられるより前に、まず AI に見つけられていた。順番が、これまでと入れ替わっていた。

どうやって計測したのか(GA4での判定方法)

計測は GA4。参照元が chatgpt.com として記録されたものを ChatGPT 経由と判定している。内訳を見ると「chatgpt.com / (not set)」に加えて「chatgpt.com / ai-assistant」という参照元も記録されていた。後者は ChatGPT のブラウザ統合(AIアシスタント)経由とみられ、流入が ChatGPT ウェブ版の引用リンクだけではないことを示している。

ひとつ留意すべきは、アクセス解析で見えるのは「ChatGPT の回答内のリンクをクリックして来た人」だけだという点だ。AI が回答の中でこのサイトの内容を参照しても、ユーザーがリンクをクリックしなければ数字には現れない。つまり、実際に AI に参照されている量は、この数字より多い可能性がある。

このデータで確認できること・できないこと

サイトはまだ作りかけのため、この計測データには、作った私本人のアクセスも混ざっている(direct 流入の大半は、おそらくそれだ)。来た人がどのくらい滞在したか、何度戻ってきたか——そうした行動の数字は、対策した上で今後分析することになる。

その上で、揺らがない事実がひとつある。

AI 経由の流入が実在し、それが従来型の検索を上回っていた。 これだけは、本人のアクセスが混ざっていても影響を受けない。私自身は ChatGPT 経由で自分のサイトにアクセスしたことはなく、この 13人に本人は含まれていないからだ。

もうひとつ、正確に言っておくべきことがある。Google からの流入が 4人しかいないことは、「Google がこのサイトを認識していない」ことを意味しない。インデックスはされていても、検索結果の上位に出ていないだけかもしれない。確かに言えるのは、「検索からの流入がほぼない」というところまでだ。

公開して間もないサイトの、短い期間の数字ではある。それでも、この一点だけは確かに残る。

なぜ検索より先にAIに見つかったのか——入口の順番が変わる

これまで、作ったものが世に見つけられるかどうかは、検索エンジンの上位に食い込めるかどうかにかかっていた。そこには、時間をかけた積み上げが要る。

今回起きていたのは、その積み上げを経る前に、AI のほうが先に反応していた、ということだ。検索からの流入がほぼないサイトが、AI にとっては、すでに引用できる情報源のひとつになっていた。

見つけてもらうための入口が、検索エンジンだけではなくなっている。しかもその新しい入口は、従来の対策の順番を待たずに、先に開くことがある。

当初から意識していた「基本的なこと」のうち、何が、どこまで効いたのか。その検証はこれからだ。LLMO や AIO、GEO と呼ばれる領域には、まだ定石が固まっていない。このサイトを実験場として、今後も確かめ続けていきたい。少なくとも、現象として、この入れ替わりは確かに起きていた。まずは、それが起きたという事実を重視したい。